ツクツクボウシ

ツクツクボウシという小型のセミは、主に夏の終わり、だけどまだ残暑残る頃に鳴き始めます。よく似たヒグラシが木々が生い茂る暗い雰囲気の中に住んでいるのに対してツクツクボウシは日光が地面まで通るようなポプラや赤松の明るい林で、名前の由来になった独特のツクツクボーシを繰り返す演奏をしています。

どうもツクツクボウシの歌声は、セミ仲間ではかなり高度な音楽的センスを持った種類だと評判のようです。

すばしっこいツクツクボウシは木にとまると、最初はジー・・・という音合わせから始まり、次にジュクジュクジュクジュクとけっこう長めの前奏に入ってきます。そのあとに一発大きくオーシン!をかましたあとにツクツクボーシ、ツクツクボーシの主演奏を繰り返し、最後近辺にオイヨーシ、オイヨーシ、オイヨーーシと結んでジーーーーツで締めくくるこれはもう立派な演奏をしているわけなんですね。

ちなみに、ツクツクボウシの曲名はツクツクボーシなのか、あるいはオーシンツクツクなのかの論争があり、どうもツクツクボーシが正解だとされているようですが、上述のように前奏のジュクジュクの後はオーシンから入るので、私個人としてはオーシンツクツクではなかろうかと考えています。

しかしこのオーシンという響きは、私の幼い頃によく夏風邪をひいて、母が医者に電話すると、先生は車に乗って「往診」に来るのですが、このとき必ず注射された苦い思い出の「往診」とツクツクボウシの「オーシン」ていう出だしの発音が一緒なので、いつも夏の終わりには当時のガラス製注射器に入った薬と、それを持って喜んだような顔して近づいてくる医者の顔が思い出されてくる思い出のセミなのですよ。

今年もまた夏の終わりのツクツクボウシの演奏が聴けることでしょう。

京都市桂坂 動物図鑑

京都市西京区桂坂で見つけた動物を紹介します。

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