キアゲハ

子どものころ、ふつうのアゲハチョウに対して何かプレミアムというか、一目おいて見ていたのがキアゲハ。

ナミアゲハとキアゲハが両方飛んでいたら、かならずプレミアムの空気を感じるキアゲハを網で追っかけたという経験者は私だけではないだろう。さらにその上にクロアゲハという別格もあり、どうしても捕獲したいけどすばしっこくてとても追いつかないアオスジアゲハという「高嶺の花」的アゲハも存在していた。

このように昆虫少年の間では虫の価値について独特の法則があったのですが、まあそんなのはさておいて、キアゲハは成虫でこそナミアゲハとワンランクしか見栄えが変わらないけど、幼虫の姿はまるで別人。ナミアゲハの幼虫は全身緑色で、ミカンとかサンショウの葉っぱを食べる硬い物好きなのに対し、キアゲハはニンジンとかパセリを植えていると、いつの間にかライトグリーンにブラックの縞模様なグロテスク姿のイモムシが何匹も群がってムシャムシャ葉っぱを食べている姿に、人間は気持ち悪がって、ついでに怒り「イモムシつまんで捨てろ」を受けやすい。

きっとあのキアゲハの幼虫が持つ緑と黒の縞模様は、天敵の鳥たちに「俺たちゃキモいし臭いぜ」と注意喚起する手段なのだろう。けどそれが人間には「つまんで捨てろ」に直結するのが少し気の毒な感じがする。

でもあのキモい縞模様は、大抵の子どもはほんとうに気持ち悪がって触ろうとしないのですが、10人に1人ぐらいは「これキアゲハの幼虫・・・」と言って捕まえて家に持って帰りたがる。実際パセリなど結局は人間もお残しするサラダの添え物のパセリの葉っぱをあげたら自宅で飼えるから、サンショウの葉っぱを探し回らなければならないナミアゲハの幼虫より飼育が簡単かもしれない。

蛹から羽化して立派なアゲハが出てくるところはモンシロチョウよドラマチックで感動的だから、これは今でも子ども達に人気あるだろう。

さらにもうひとつ、幼虫をいじると頭の後ろからニョキッ!と出る黄色い色した臭い角。あの臭いには閉口させられる・・・と思いきや、けっこうあの匂いが慣れるといい香りに思えてくるのは万人の共通なのだろうか。



京都市桂坂 動物図鑑

京都市西京区桂坂で見つけた動物を紹介します。

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