ヒロヘリアオイラガ

写真の昆虫、これは蛾の仲間ではイラガという種類に属するヒロヘリアオイラガです。

触ると危険だ!と言われているドクガと、翅を閉じてとまっている姿はぼぼぼぼそっくりです。

イラガもドクガも毒を持っている生きものなのですが、少々ややこしいことに、種類によって毒を持つのが幼虫だけのもの、さなぎ(まゆ)まで毒を持つもの、成虫(大人になった蛾)にも毒を持つもの、そういう毒虫期間の長さが違います。

一般にイラガは幼虫だけ毒がありますが、このヒロヘリアオイラガは、幼虫に加えてまゆに毒があります。だけど写真のように成虫になったら毒は持っていません。

一方ドクガとチャドクガは幼虫の時期に体の周りに毒毛を発達させ、その毒毛をまゆや成虫になるまでの全期間にわたって体にくっつけて「武装」することで自分の身を守るようにしています。だから成虫も危ない蛾です。

このように種類や個体によって色合いが少し違いますので判別があやしくなる場合があります。「これはイラガだから成虫になったら安心だ!」と思った蛾が、もしかしたらそっくりの、特にドクガやチャドクガだったら触ったら危ないです。

だから、こんな写真のような形をした蛾がとまっているのを見つけても捕まえたり触ったりしない方が身のためだと思っておく方が安全!とここでは言っておきましょう。

改めてヒロヘリアオイラガの写真の蛾をよく見てみましょう。ずんぐりむっくり、毛が比較的もふもふしていて、脚にももふもふが見られる特徴です。一旦とまったらそのままじっと動かないこともよくあるみたいです。この蛾は我が家のすぐ横の電柱にとまっていまして、翌日も同じところにとまっていましたから、きっと1日以上も微動だにしなかったのではないかと思います。なにしろお口が退化して食べることができないから必要ないのに動くことが無いんですね。

このヒロヘリアオイラガは柿の葉っぱの縁が枯れている姿そっくりの風合いのある色具合です。ウチには柿の木があって、そこにイラガの幼虫がいました。だからきっとこの幼虫もこの木で育ったのでしょう。ウチの柿の葉を食べて育ち、こんなに立派な成虫の蛾になりました。

イラガの幼虫は寸づまりで薄緑色で毛というよりハリネズミみたいに細かいトゲトゲが生えたような毛虫で上述のように毒があります。知らずに腕でその用幼虫に触れると、割れたガラスの尖った部分で引っ掻いたように痛い思いをします。ビリビリするのですね。それになかなか治りにくいから困ったもんです。一度刺されたら「この虫が刺したのか!」と記憶に残る目立つ姿なので、次に見たらもう近寄らないと思います。

一方ドクガやチャドクガの毛虫のほうが地味でふつうの毛虫の姿です。たくさんの毛虫が密になって集まって葉っぱを食い荒らし、毒毛が皮膚につくと、それはそれは痛痒くて腫れてたいへんですが、地味だから見逃すのでしょう。園芸をやる人は一度はドクガかチャドクガの洗礼を受けるそうです。

私はドクガの洗礼はまだ授かっていませんが、イラガの洗礼のほうは何回か受けさせていただきました。ミミズ腫れの日が続きました。でもそうやって幼虫は自分を守ってやがてまゆになり成虫に育つのですから、まあ勘弁するとしましょう。

京都市桂坂 動物図鑑

京都市西京区桂坂で見つけた動物を紹介します。

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